2017-06

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仮面ライダー響鬼の事情 禁を破ってレビュー 其の3

表紙

さて、かなり間が空いてしまいましたが、前回の続きです。
クウガ」から「」まで、5年に渡って続いていた平成ライダーシリーズに代わる新ヒーローを、という企画から始まり、結局はライダーシリーズとして制作されることになった「響鬼」。
様々なキャラ&舞台設定が提案され、内容が二転三転しながら、太鼓で敵を倒す「音撃ヒーロー」という設定に行き着くまでを綴ったこの著書に対する、最後のレビューです。

「ロードムービーに憧れて」という章で、「響鬼」では主人公(戦士と少年)が全国を旅して回る「ロードムービー」というスタイルを取ろうとしていた事について書かれています。
前々回の記事でも触れたように、この設定は2003年の「仮面ライダー555」でも採用しようとして、結局は実現しなかったという経緯があります(「555」の初期数話に、その名残が見受けられます)。
なぜ実現が難しいのかと言えば、著書の中でも言及しているように、ロケ地の確保や遠距離移動に伴うスケジュール、予算調達など、1年間を通して放映する番組で行うにはあまりにも問題山積だというのが実情です。
しかし、文芸チームの大石真司氏から、
予算やスケジュールの問題は最終的にはプロデューサー・マターの懸案なので、設定を考えるのが役目の我々としては、初めから予算やスケジュールの都合を考慮に入れて設定を考えることは、あえてしないほうがいいのではないか
という提案が出され、最終的に実現はしませんでしたが、ロードムービー調を取り入れる方向へと動いていった…という経緯が書かれています。

この提言に片岡、きだ両氏も賛同し、高寺氏も多少の躊躇は見せながらも受け入れた…とあります。より良い作品を、という意気込みから出た提言だったのでしょうが、「クウガ」の頃から予算については何かと問題になっていただけに、誰かが「ちょっと待てよ」と言うべきだったかも知れません。

そして、企画当初から目指していた「ジュブナイル」というコンセプト。
正直、本編でもこの要素は活かされる事なく、置き去りにされていった感がありますが、文芸チーム内でも方向性は統一されていなかったようです。
学校から飛び出すべき」という片岡氏と「学校を舞台にするべき」という高寺氏との食い違いがあり、それが後に、二人が袂を分かつという事態に繋がっていったように思います。
それだけ「ジュブナイル」という要素は、特撮ヒーロー作品の中で扱うのは難しい題材なのでしょう。私個人としても、どちらの意見が正しかったのかは判断しかねます。

9月16日に行われたというテレビ朝日本社での打ち合わせでは、メインになるはずの高寺氏が欠席、テレビ朝日サイドと文芸チームの打ち合わせが上手くいかなかった…とあります(噛み合わないやりとりに、声を荒げるプロデューサーもいたとか)。
高寺氏の欠席理由は体調不良だったとの事で、仕方の無いことなのですが、この打ち合わせに出席できなかったのは痛かったと思います。ここでもやはり「すり合わせ」が足りなかった様子が窺えます。
我々ライター陣をつまらない政治に巻き込まないでほしい
というきだ氏の言葉に込められた「政治」とは、どういう意味だったのか…まぁ、あまり詮索するのも無意味なので止めておきます。

そして11月9日に行われた、響鬼の初お目見えとなった撮影会。
埼玉県長瀞の荒川上流で公開された響鬼のスーツと佇まいは、撮影に集まった雑誌のカメラマンや記者達にも好評だったようです。
しかし、この本の著者である片岡氏はこの撮影会の前日に、
自分のアイディアが採用されないのでヘソを曲げているようだが、そういう人がチームにいると上手く行かない
という理由で、高寺氏から解雇を告げられています。
著書の中では全くといっていいほど触れられていませんが、解雇に至るまでの間に、著者と高寺氏との間で重大な衝突があった事は容易に想像できます。「ジュブナイル」の件以外にも、根本的な主義&主張の相違があったのかも知れません。
前日から車中泊までして撮影会にのぞんだというブレックスの野中氏からかけられたという、
感無量でしょう!
という言葉を、片岡氏はどんな思いで聞いていたのでしょうか。

この撮影会を最後に現場を離れたという著者は、放映された本編の第1~2話に対する不満、矛盾点を上げて、この時期からすでに疵や綻び、行く末に対する暗雲が漂っていた…と書いています。
ヒビキが音撃棒を削るときの手つきといった細かい演出や、魔化魍との戦闘場面における展開のまずい箇所など、「クウガ」で出来ていたことが「響鬼」で出来なくなっている…という片岡氏の文章に、袂を分かった高寺氏に対する複雑な感情が見え隠れしているように思えました。

この本を購入した人が、おそらく最も知りたかったであろう、
高寺プロデューサー交代&大幅路線変更
については、あとがきで少々触れているだけにとどまっています。
番組開始後は関係者ではなくなっていた著者ですが、もともとは業界内にいた人なのですから、その後も何かしらの情報は入っていたでしょうが、デリケートな問題であるが故に、あえて自粛したのでしょう。
ネット上で飛び交った噂の中には、ガセネタに混じって「かなり正鵠を射ている」というものも混じっていたらしいのですが、真相は依然、闇の中です。

最後に、私がこの本を読んでいて、一番解釈に迷ったのが次の一文です。

―――5年前の「クウガ」のときと違って「響鬼」ではもう、番組作りを通してやりたいことが高寺氏自身の中に残っていなかった(このことは筆者が文芸チームにいたときにもしばしば話題にされ、「クウガの落ち穂拾い」と半ば自虐的に表現されていた)―――

解釈の仕方によっては「響鬼」という作品自体を揺るがしかねない文章なのですが、高寺氏はどういうスタンスで制作に携わっていたのでしょうか。
もう「平成ライダー」はやりたくなくて、「新規ヒーロー作品」になるはずだった番組を「ライダー」に変えられて気落ちしたのか、本当に作りたかったのは「クウガ劇場版」だったのか、あるいは特撮番組の制作自体、もうやりたくなかったのか…。
もし、高寺氏が「響鬼」の制作を惰性でやっていたのであれば、それは大いに問題があると言わざるを得ないのですが、高寺氏が東映を退社した今となっては知る由もありません。

3回に渡ってレビューを書いてきましたが、この本に書かれているのは、「片岡氏の視点から見た事情」です。別の人の視点から見れば、また違った事情が見えてくるのかも知れません。でも、それを目にできる可能性は、現状では限りなく低いでしょう。

長々とまとまりのない記事を書いてきました。最初から読んでくれていた人は、かなりダルい思いをしたかも知れませんが、どうかご容赦ください。
この本の出版を、特撮ライター生命と引き換えにした、という片岡氏の覚悟に少しでも報いようと、なるべく誹謗中傷にならないようレビューしたつもりでしたが、上手く書けなかったかも……ブログなんぞ書いてるくせに、文章力皆無ですから。

以上をもって「響鬼」に関する記事を終え、現在放映中の「電王」を、今は素直に楽しむことにします。
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コメント

高寺って、響鬼の後半を担当して今もライダーを担当している白倉さんに対して何とも思わないのでしょうか。クウガの落ち穂拾い云々というのを聞いてそう思いました。非仮面ライダーが没になったからって怒りくるったりとやっぱり高寺という奴に人間的に問題があったとしか言いようがないとしか思えないです。何か感情的になってしまってごめんなさい。

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